FDA GRAS通知義務化規則案を公表——Self-Affirmed GRAS制度の透明性強化へ
2026年8月、FDA(米国食品医薬品局)は、GRAS(Generally Recognized as Safe)制度に関する規則改正案(Notice of Proposed Rulemaking:NPRM)を公表しました。(NPRMは最終規則ではなく、パブリックコメントを募集するための規則案です。)
最大の変更点:
これまで企業の任意選択であったGRAS通知(GRAS Notice)の提出が、原則として義務化されることが提案されています。
対象:
Self-Affirmed GRAS(企業が独自に科学的根拠に基づいて「安全である」と判断したGRAS物質)に基づく場合に適用予定です。
GRAS制度の現在の仕組み
【現行制度】Self-Affirmed GRAS制度とGRAS通知
企業の権限:
企業は、食品に使用する物質について、科学的根拠に基づいて独自にGRAS結論(Self-Affirmed GRAS)を導くことができます。
FDAへの報告:
企業がこのGRAS結論をFDAに通知する仕組みが「GRAS通知(GRAS Notice)」です。
現在のルール:
GRAS通知の提出は任意であり、企業は通知せずにGRAS結論に基づいて市場に製品を導入することができます。
FDA が指摘する課題
FDAは、現行制度において以下の問題があると指摘しています
問題点1:情報把握の不完全性
Self-Affirmed GRASに基づいて市場に導入されている物質について、FDAが十分な情報を把握できていない状態が生じている。
問題点2:監督上の制約
市場にどのような物質が、どのような根拠で、どのような用途で使用されているかについて、FDAの把握が限定的である。
問題点3:食品安全上のリスク
消費者安全上の懸念が生じた場合、FDAの対応が困難になる可能性がある。
規則改正案の具体的な内容
【提案内容】GRAS通知の義務化
変更対象:
Self-Affirmed GRASに基づくGRAS結論について、FDAへのGRAS通知を提出することを原則として義務化する
目的:
- 1. 制度の透明性向上
- 2. FDAによる監督強化
- 3. 消費者保護の強化
【重要なポイント】科学的評価基準は変わらない
変更されない要素:
- • GRAS結論を判断する際の科学的評価基準
- • 安全性評価の方法論
- • 専門家レビュー(expert panel review)の考え方
つまり、「GRAS であるかどうか」を判断するための科学的基準は現在と同じです。
変更される要素:
- • 通知提出の「任意性」→「義務化」/li>
- • 情報開示の範囲拡大
- • FDAの監督権限強化
既存のGRAS物質への対応
【提案内容】簡略提出制度(Streamlined Submission Pathway)
対象:
最終規則の施行前から市場で使用されているSelf-Affirmed GRAS物質
措置:
既存物質については、新規のGRAS通知とは異なる移行手続きが設けられる予定です。
配慮:
企業の過度な負担を軽減し、制度移行を円滑にするための措置
詳細:
適用条件や必要資料などの具体内容は、今後のルール策定過程で決定されます。
現在のステータスと実施スケジュール
【現在の段階】
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年8月 |
| ステージ | Notice of Proposed Rulemaking(NPRM)= 規則案段階 |
| 性質 | 最終規則ではなく、パブリックコメント募集のための提案 |
| 確定度 | 未確定——パブリックコメント結果により変更の可能性あり |
【実施スケジュール】
現在~9月/10月:
FDAが120日間のパブリックコメントを受け付け中
その後:
提出された意見を検討し、最終規則を策定
最終規則発表まで:
現行のSelf-Affirmed GRAS制度が引き続き適用される
食品メーカーや原料サプライヤーにとっては、今回の規則案の内容を把握するとともに、自社が保有するSelf-Affirmed GRAS成分や関連資料への影響を確認しておくことが考えられます。特に、製造工程、規格、用途、安全性評価などの資料については、最新の情報が反映されているか確認しておくことが有用です。

